吉江歯科医院ブログ(症例)

2010年1月17日 日曜日

インプラントやや難症例

BlogPaint 最近、旅行や年末行事などの記事ばかりで、症例報告をさぼっていました。今年も公開を許していただいた症例を報告させていただこうと思います。40代薬剤師の男性、右上第二小臼歯の欠損。ブリッジは前後の歯を削るのが好ましくないとのことでインプラント治療を選択なさいました。術前のCT診断で、過去に病巣が存在した場所の骨が強く陥没していることが分かっていました(外側)。GBRにて骨を造成することも検討しましたが、患者さまの負担が大きくなることから「そこにある骨を有効活用」することで合意していただきまして、いざオペです。


D0603008 どうやって「そこに今ある骨を有効活用する」のか。それには、オーギュメーターという外科器具を使います。通常は、ドリルを使って骨に直径約3.5mmの穴をあけて、そこにインプラントを埋め込みます。が、この症例に普通にドリルで穴を開けたら、骨が沢山削られて、頬側の骨にドリルがはみ出て、大きな穴が空いてしまいます。そうすると、インプラントを支える骨が少なく、インプラントが不安定になり、骨と結合することも期待薄になってしまいます。そうなると骨の厚みを大きく増すためにGBR(骨造成術)の出番となるのですが、GBRは術後の強い腫れを伴うこと、作れる骨の量及び将来の骨吸収量の予測がやや難しいことなど、「そこにある骨の有効活用」に比べて患者さまの肉体的負担がやや大きくなり、また結果の予測がやや難しいという難点を伴うこととなります。(当然、GBRを用いるほうがいいケースも沢山ありますが。)

 このような症例の場合、当院では患者さまの負担ができるだけ少なく、安定した結果が得られるように「オーギュメーター法」を用います。「だんだん太くなっていく先を丸めた千枚通し」のような器具が「オーギュメーター」です。

BlogPaint この症例では直径2mmのドリルだけを初めに行い、その後はオーギュメーターで段階的に、徐々に太さを増していくことで、骨をドリルで削ることなく、骨をやさしく広げる感覚で直径3.8mmの空間を作り(一番最初の写真がその様子です。)、そこに直径4.0mmのインプラントをしっかり埋め込むことができました。頬側の骨からインプラントは、一切露出していません。ご自身の硬い骨でインプラントがしっかり支えられています。


D0603024 あとは通常どおりキャップをして、歯ぐきを綺麗に閉じておしまいです。手術時間は40分でした。きっと腫れも痛みも最小限で済むはずです。
高崎まで新幹線での帰り道、お気をつけて。ご苦労様でした。

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2009年8月10日 月曜日

サイナスリフト骨造成術

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サイナスリフトの症例を報告します。上顎の奥歯にインプラントをしたいけど「骨がないから無理だな」って先生に言われた方がいらっしゃるのではないでしょうか?そう、上顎の奥歯の部分はその上に副鼻腔の「上顎洞」が存在するためにインプラントを植えられる骨の高さや量に限りがある症例が多いのです。この症例では赤い線で囲った部分が骨です。非常に薄い骨で、このままではインプラントすることは不可能です。では、あきらめるか、それとも骨を造るか?患者様とよく、よく相談した上で後者、骨を造ることとしました。

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CTで事前にシュミレーションした上で上顎洞の側面を窓開けして、骨補てん材「β-TCP」を上顎洞粘膜のシュナイダー膜の下に入れていきます。粘膜を破かないように優しく、かつ十分に。手術は、静脈内鎮静法を麻酔医の兄に依頼し、患者様は眠っているうちに行われました。処置時間はサイナスリフトに関しては1時間45分くらい。青い線で示されたのがシュナイダー膜がリフトされたライン。白いぶつぶつがβ-TCPです。十分にインプラントが可能な状態まで骨造成が行われました。いちばん手前のインプラントはこの手術と同時に埋入しました。あと2本のインプラントは、6カ月後β-TCPがしっかり骨になってから埋入する予定です。このようにインプラントが不可能だと思われる症例も、きちんとしたCTによる術前診断、治療計画によってインプラント可能になるケースもあります。しかし、やはり不可能なケースもあるのも事実です。大切なのは無理のない治療計画です。診断ご希望の方はお申し出ください。

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2009年7月24日 金曜日

4月に移植した症例のその後

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 今年4月に自家歯牙移植の症例をお見せしました。その後どうなったかの報告を今日は致します。忘れてしまった方は4月の記事を見てくださいね。3ヶ月間順調に経過し、移植された歯はしっかりと骨の中で安定しました。歯の動揺もなくなり、他の健全な歯と変わりがないことがレントゲンでも確認できましたので、歯の内部の処置を行い、いよいよセラミックをかぶせる準備をしました。歯肉の状態も極めて良好、よく引き締まっています。


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 まずはかみ合わせの安定と確認のために仮歯をセットしました。

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 仮歯での、咬み心地は極めて良好。普通にお食事を楽しんでいただけましたので、最終のセラミッククラウンに移行しました。通常、移植歯のクラウンは金属を使うことも多いのですが、患者様の希望でセラミッククラウンとしました。とても綺麗に入ったと思います。特筆すべきはこの歯肉の美しさでしょう!(手前の具合の悪い歯の歯肉と比べてみてください。)移植は全行程4か月かかりました。でも、とてもよい結果で患者様も満足してくださいました。私もとてもうれしいです。千葉からのご通院ご苦労様でした。
「次は、手前の金属歯を治したい。」とおっしゃってました。手ごわそうですけど大丈夫!がんばります!

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2009年5月23日 土曜日

インプラント前歯6歯の症例

インプラント340代女性、昔から使っていた前歯のロングスパン・ブリッジの根が虫歯で崩壊してしまい、ブリッジを支えられなくなりインプラントへ移行した症例です。昨年末にインプラントを4本埋入、6か月のインテグレーション期間をおき、先日、土台となるジルコニア・アバットメントを装着。現在インプラント上に6歯の仮歯を装着中。この症例で注意したこととしては、①前歯ゆえに審美性を十分に考慮すること、唇の運動範囲(リップライン、スマイルライン)との調和。②前歯ゆえに骨の薄い部位があり、CTでシミュレーションした上で、その部位をオーギュメーターによって骨幅を十分に増してからインプラントを埋入したこと。③インプラント埋入から土台が立つまでの間に前歯がなくては生活できません。その間の仮のものとして患者様が受け入れ可能な仮歯(この症例ではノンクラスプデンチャーを用いました。)を作って差し上げること。④費用面も考慮に入れた上で、強度など無理のない設計をすること。(ただ安くという意味ではありません。)などなど。
難易度の高い症例でしたが、患者様の協力もあって順調な経過をたどっています。今頃、前歯で「ホットドックをガブリ」なんて楽しんでいただけてるのではないかと思います。あと少しでセラミックが入りますよ!がんばりましょう!

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2009年5月2日 土曜日

インプラント3年経過症例

implant450代後半女性、左右にインプラントを入れ咬み合わせを回復した症例です。上部構造を入れてから約3年経過です。特記事項もなく安定しています。咀嚼の回復は絶大です。前歯で咬んでいたのが奥歯で心配なく咬めるのですから!上部構造はセラミッククラウンをスクリューで装着(スクリューリテイニング)してあります。

インプラント1インプラント2





インプラントの上部構造のセラミックです。手前の銀歯をセラミックに換えるとより審美的でしょうね。次の計画です。10年、15年、いやもっと長持ちするように頑張って一緒に維持しましょう。がんばります。

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